今週のコトワザは「Be yourself」(そのままのあなたでいてね)、アメリカ人が子供の頃からよく耳にする励ましの一つだ。初めてこの言葉を聞くと、「え?自分が自分じゃないことはないと思うけど」とかと思う人もいるかもしれないが、このコトワザの本来の意味は、「あなたがあなたのあなたらしさを失わないで欲しい」という強い志を抱えている。
「Just be yourself」というように現れることも多い。「Just」を追加すると、「そうするだけで良い」というニュアンスを汲む。かなり焦っている時、「デートはどうする?」と聞かれたら場合、「Just be yourself」とアドバイスする人がたくさんいる。
でも、こういう「be yourself」はそもそもどういうことだろう。「be yourself」している人たちは、下記のリストのようなことが当てはまると思う。
- 自分にとって何が重要かは、自分で決めている
- 自分は相手の意見を聞くが、無理やり相手の意見に合わせる必要をあまり感じない
- 自分に似合うと思っている服などは、友達が批判しても変えない
- 泣き寝入りは一切しない
最初に来日した時、あるお爺さんの説明に驚いた。彼はこう言った。「日本の礼儀の一つは、相手に注文を合わせることだ。例えば、飲み会に行った時、とりあえず皆はビールを注文すれば良い。ビールがあまり好きじゃなくても、ビールを注文すること。なぜかというと、もし一人が日本酒とかを注文してしまったら、和に欠けるからだ。なので、最初は無理しても皆に合わせるのだ。」
これは「be yourself」と正反対の考え方である。しかし、アメリカ人と日本人がこの辺でよくお互いを勘違いしていることは有名だ。
日本人が留学すると、「なんとアメリカは自由だ」と思う人がいる。確かにアメリカは自由なところがある。だけど、注意しておきたいのは、「be yourself」などの表現は、「あなたの好きなようにすれば良い」という意味ではないのだ。そう思っているアメリカ人もいるだろうが、彼らも大きなことを勘違いしている。それは、「be yourself」をするのに、まず自分のことを分かる必要がある。「己を知る」と言っても過信ではない。
そして、自分を知るのに、判断する必要もある。「自分は何が好きかな」というようなことから始め、「自分はどんな人生を送りたいか」に至るまで、まず自分を追求する必要がある。答えに辿りつくまで、自分は一体誰だと自問する。
そうしないと、自分が自分を知らないまま、いくら自分で居ようとしても、なかなかうまくいかない。
これは恋愛にとても関係ある話だ。自分が地味の服が似合うと知っているのに、土曜日になって無理やり派手な服を着て外に出ている人を知らないか?そうしたい人はそれで良いと思うのだが、それが嫌でも頑張ろうと思う人はいつも申し訳ないに思う。なぜかというと、その人はバーに行って、注目を浴びても、注目している相手はその人のことをみているのではなく、ただその派手な服に目を向いていることが多いからだ。そういうわけで、似合わない服を着ている人が似合わない相手に出会う。それこそが不縁の始まりのではないか、と僕は思う。
こういう時、「be yourself」の励ましの出番だ。無理やり相手に合わせる必要なんてないよ。自分に似合わないことをするな。言い方がちょっときつくても、内容がとってもポジティブだ。
誰しも自分に似つかわしくない相手と付き合う必要はなかろう。自分に合っている相手はきっといるはずだ。
恋愛の時こそ、「be yourself」というコトワザが大事だと思う。僕は日本酒の大ファンだけど、今でもそのお爺さんがくれた言葉を思い出していて、飲み会に行く時、皆と一緒にビールを注文している。良くても悪くても、それは日本社会に必要なマナーであると言って良いかもしれない。それで、ちょっと無理しても構わない。二時間が経てば、お開きだし。
でも、恋愛はそう簡単に去らない(と期待している僕らがいる)。それは僕の言いたいことだ。人に出会うため、ちょっと工夫しても良いと思うが、無理やりあなたらしくない真似をすると、大損をする。
あなたが自分のように振舞わないと、自分を好きになる人に出会えない。自分は自分じゃないからだ。自分が自分らしくない時、誰もあなたの「リアル」な自分を見つけられない。本人さえ分かっていない時、大変なことになる。
まあ、言うのも簡単だけどな。「己を知る」ことは一日に実現出来るようなもんじゃない。だからと言って、やらなくて良いわけでもない。
まあ、「Life isn't easy」というコトワザもある。